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村本外志雄氏「戦時下の航空機燃料 松脂・松根油…」


村本外志雄氏「戦時下の航空機燃料 松脂・松根油採取について」


石川郷土史学会の6月月例研究発表会が27日(土)、金沢の県立図書館で開かれ、村本外志雄さんが「戦時下の航空機燃料 松脂・松根油採取について」と題して発表しました。
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村本さんは、戦時下の航空機燃料 松脂・松根油採取について、金沢市近郊の事例を中心に次のように発表しました。
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発表する村本外志雄さん


◆先日、新聞にも紹介されたが、兼六園の梅林の近くに大きな傷跡が残る老松がある。これは終戦直前の昭和20年6月に、政府の指示で軍用航空機の燃料にするため、松脂を採取した跡である。

◆当時の燃料事情についてふれると、石油の自給率はなんと10パーセントで、75パーセントをアメリカに依存していた。それで、昭和16年12月、太平洋戦争が始まると、一挙に石油が足りなくなる。

◆このため、昭和19年12月から、松根油の緊急増産運動が開始され、普正寺や安原の海岸、野田山、三小牛山などで松脂と松根油の採取が始まった。

◆昭和20年になると、兼六園の樹齢100年を超える松53本から松脂が採取されるようになった。これは終戦まで続いたが、戦争が8月に終わったため、兼六園の名木は命が助かったといえるかもしれない。

◆この松脂と松根油は、航空ガソリンの原料として利用が試みられたが、およそ200本の松根から採取する油で、飛行機1機が1時間飛行できる程度で、効率が悪く、実用化にはつながらなかった。

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村本さんは、野田山墓地の中を歩いて調査した結果、松脂採取のため傷跡がある松が多く残っていることを報告し、このように発表しました。
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なお、次回研究発表会は、7月25日(土)に開催されます。
Commented by 佐野郷美 at 2021-02-13 10:41 x
私の住む町千葉県市川市にも中心市街地にクロマツが2000本以上あって、戦争末期に松脂を採取した跡が多数残っています。私たちのグループ「市川緑の市民フォーラム」は、昨年その詳細な調査を終え、現在「報告書」を作成中です。4月を目標に市と教育委員会に対して「戦争遺跡としての指定」「説明看板の設置」「平和教育への活用」を要望するつもりです。大変参考になりました。ありがとうございました。
by ishikawakyodo | 2015-06-27 20:22 | 研究発表会 | Comments(1)

石川県の郷土史を研究する石川郷土史学会のブログです。


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